2022年4月3日に宿場JAPANから『ゲストハウスがまちを変える』が発売されました!
【主なもくじ:ゲストハウスがまちを変える】
◎1章:日本のゲストハウス・カルチャーの歴史
◎2章:地域融合型ゲストハウスの運営
◎3章:ゲストハウスの事業計画、サービスのつくり方
◎4章:宿の価値を高め、地域と連携する運営
◎5章:開業支援事業のケーススタディ
◎6章:これからのゲストハウスの可能性を探る対話
行政・⺠間問わずまちづくりや観光業に携わる方、ゲストハウス開業を目指す方はもちろん、withコロナ時代の観光・まちづくりについて考えている方、地域を良くしたい夢を持つ方におすすめしたい一冊です。
noteでは、本書の【はじめに】を公開します。無料で読めるので読んでみてください。次回以降6章の対話も無料公開を予定しています。続けてチェックいただければ幸いです!
なお宿場JAPANの想いについてはプレスリリースをご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000097061.html
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はじめに
本書は、2009年10月に「ゲストハウス 品川宿」を開業し、2年後の2011年3月、株式会社 宿場JAPANを立ち上げ、スタッフと共にこれまで5軒の直営ゲストハウスを開業し運営してきたノウハウや、他の事業者さんのゲストハウス開業を支援してきたノウハウをまとめたものです。
旅館やホテル、コテージ、グランピングなど数ある宿泊施設の中でも、ゲストハウスはインバウンド比率が高く、他の宿泊客との交流を重視した空間設計がなされているのが特徴です。
日本のゲストハウスは、1970年代のオイルショックを受けて、80~90年代に代々続く旅館を外国人向けの小さな宿に展開させたことからスタートします。2000年代に入って、物件を借りて小規模なゲストハウスを始める個人事業者が登場しました。2010年代になると、空間のデザイン性の向上や飲食店の併設、まちづくりや遊休不動産の活用など、付加価値を高めた宿が増加し
たことから認知度や稼動率が上昇し、初期投資をかけても成立する事業として、異業種からの参入も相次ぎました。並行して、女性オーナーの宿も増え、女性ユーザーも増加していきました。
2019年までの観光業界は、インバウンドが年々増加し、東京オリンピックを見据えて、宿泊施設が急増していました。2010年ごろは国内に200~300軒ほどしかなかったゲストハウスが、2020年には約2500軒と、10年で約10倍に増加したのです。しかし、こうした観光業界の盛り上がりに反して、現場にいる僕らはモヤモヤした気持ちを抱いていました。大手企業の新規参入による価格・サービス競争の波を受け、小規模宿泊施設の存続を考えさせられることが度々あったからです。
ゲストハウスをはじめとする小規模宿泊施設は、売上という目的以外に、たくさんの社会的役割を果たせると僕は考えています。その役割の一つとして、地域の課題を解決し、多様な文化を醸成するまちづくりが挙げられます。僕らが掲げる理念は「『SHUKUBA』の輪を全国に」です。ここで言うSHUKUBAとは、世界中のさまざまな人々を受け入れ、お互いの文化を尊重し、地域の人々と共に暮らすコミュニティを意味しています。そういった多様な文化が共生する地域のハブ=ゲストハウスをつくりたいと考えてこれまでやってきました。どの街にもさまざまな地域づくりのプレイヤーが活動されていますが、そのなかに、もし“宿”をきっかけに多様な文化が生まれる地域づくりを行いたいと思っている方がおられたら、僕のこれまでの経験が何かの役に立つかもしれない。そんな思いで、「スタートアップから10年後の現在に至るまでの、小規模宿泊施設の開業や多店舗展開、他の事業者への開業支援、人材育成、サービスデザイン、そして地域づくりのノウハウを伝えること」を目指して、本書を出版することにしました。
本書は多くの方々にご協力いただいて完成することができました。まず、「ゲストハウス情報マガジンFootPrints 」の運営者で業界に最も精通する1人として自らの知見も織り交ぜながら膨大な執筆・編集作業を担当してくださった前田有佳利さん、インタビューや取材でお世話になった各地の運営者の方々、そして出版を実現してくださった学芸出版社の宮本裕美さんほか、多くの皆さんのご協力に心よりお礼申し上げます。
本書の制作の過程で新型コロナウイルス感染症という予期せぬ事態に直面し、何度か挫折しそうにもなりましたが、逆境に屈せず、地域と連携した宿泊事業の可能性を信じて自社の運営をなんとか継続できたことで、本書にもその経験を反映し、より一層深く強いメッセージが盛り込めたと感じています。本書が、宿泊事業者だけでなく、地域づくりや多様な文化交流などに取り組む方々にも参考にしてもらえることを願っています。
地域に根ざした宿を運営する日常は、まるで旅のようです。日々顔を合わせる地域の人々と、さまざまな場所からお越しくださるお客様、多様な人々と出会いながら、暮らしの楽しみを共有する時間は素晴らしいものです。僕がこれまで、東京の品川をメインエリアに宿泊施設を10年以上続けてこられたのも、こうしたさまざまな出会いのおかげだと思っています。その出会いに心より感謝申し上げます。
株式会社宿場JAPAN 代表取締役
渡邊崇志
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著者について
渡邊 崇志
株式会社宿場JAPAN 代表取締役。1980年生まれ。明治大学商学部卒業。リッツカールトンなど複数のホテル勤務を経て、2009年外国人旅行者向け宿泊施設「ゲストハウス品川宿」を開業。2011年株式会社宿場JAPANを創業し、地域融合型宿泊事業のビジネスモデルを構築する。東京で一番小さいホテル「Banba Hotel」(2014年)と「Araiya」(2016年)、アパルトマンタイプの民泊「kago#34」(2018年)を運営。また、2011年からゲストハウス開業希望者を支援する事業も展開し、これまでに全国7地域で実現。
前田 有佳利
ゲストハウス情報マガジン「FootPrints」代表。全国200軒以上のゲストハウスを旅する編集者。1986年生まれ。同志社大学商学部を卒業後、株式会社リクルートに勤務。2011年FootPrintsを立ち上げ、2014年和歌山にUターンし、2015年からフリーランスのライター「noiie」として独立。2016年『ゲストハウスガイド100 -Japan Hostel & Guesthouse Guide-』(ワニブックス)を出版。ゲストハウスや和歌山のまちづくりを専門分野に、さまざまなメディアやプロジェクトで執筆・編集・企画を担当。
書籍概要
著者:渡邊 崇志・前田 有佳利
監修:宿場JAPAN
定価:2,300円+税
発売日 : 2022/4/3 / 288ページ
ISBN-10 : 4761528141
ISBN-13 : 978-4761528140
発売元:(株)学芸出版社